| 
785895 / かおたん + 五六四〇 
 空に飛んで行った風船君は泣いていた
 
涙は風に流れて消えた
 
夕暮れの街角
 
ひとり佇む 
 
君の手に握られていた
 
風船の行方を見守る
 
やがて見えなくなる
 
その影 
 
きっとどこかへ
 
飛んで行ってしまったんだろう
 
君は何も言わずに俯いて
 
ただじっと 
 
何も言えなかった
 
慰めの言葉さえ
 
見つからなかった
 
どうしてだろう 
 
胸の奥が痛くて苦しかった
 
そっと背中に
 
手を当ててみるけれど
 
君は泣き止みはしなかった 
 
声を上げて泣く事もせず
 
ただ静かに涙を流し
 
しばらくして
 
ようやく落ち着いたのか 
 
ゆっくりと顔を上げた君の顔には
 
もう悲しみの色はなかった
 
「ありがとう」
 
君は一言だけ言って笑った 
 
♪  | 
    
 ■コメント追記は登録者のみ  |