607045 / Elegy様 / mico
灰色の兎小糠雨が降りつける日だった
僕は幼馴染と一緒に
ゆっくりと、ゆっくりと
声のする方へ歩みを進めた
彼女は白い傘を差しながら
飼っていた灰色のうさぎの話を
物憂げに、哀しげな声で
肌を鳴らしながら語った
うさぎは震えているの
誰も見えなくなったら
きっと月へ絵を描くのよ
漆黒に浮かぶ、青白い月に
彼女は確かにうごめいていた
怪訝そうな瞳を凝らしながらも
そっと、そっと
危うい意志を噛み締めながら…
それからの事だったか
いつの間にか雨は行き過ぎ
辺りが暗くなると共に
彼女の傘は黒く変色し始めた
【間奏】
その時、僕は了解した
受動的に与えられながらも
自動的に放棄する事の《悦楽》を
僕はその切なげな痛みに身を重ねた
土瀝青の海を飛び交うカモメ
逆さ吊りになった黒い傘
円筒からはみ出そうとする中で
僕らは息をするように飛び込もうとしている
【後奏】
【後奏】
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