| 403776 / かりんとう 
 姥ぐるま蝉のなく声が遠くで聞こえる
坂の途中で立ち止まりふと顔を見上げれば
 まだ上りきらぬ坂の頂上が見える
 
 押すうばぐるまは手の汗で少し汚れて
 乾かぬハンカチで手を拭き汗を拭き
 一つため息をこぼせば
 ゆらゆらとはためく陽炎に自分の姿見つける
 
 子供の頃聞いた歌を
 ぽつぽつと一つ覚えのように口ずさんで
 乗る人のないうばぐるま
 ひとり押す ひとり押す
 
 蝉のなく声が遠くで聞こえる
 坂の終わりで息をつき下を見下ろせば
 来た道のはるか長さ足元ににじんで見える
 
 押すうばぐるまは手の汗で横すべりし
 お守りの鈴の音も乾いた音を鳴らす
 一つため息をこぼせば
 ゆらゆらとはためく陽炎に若き日の姿見つける
 
 子供の頃歌った歌を
 そろそろとなぞりながら口ずさんで
 乗る人のないうばぐるま
 ひとり押す ひとり押す
 
 子供の頃歌った歌を
 そろそろとなぞりながら口ずさんで
 乗る人のないうばぐるま
 ひとり押す ひとり押す
 
 ♪
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