348881 / こだま
アトレ今年もこの日がやってきた
ぼくはカバンを引き寄せる
マフラー巻いて手袋はいて
忌々しげに戸を開ける
街はにわかに賑々し
人はかすかにざわめきて
僕はしずかに足早く
冬の通りを突き抜ける
「今日は特別」人は言う
けれど僕には特別が
いつも通りに過ぎ去る日
いつも通りに過ぎていく
ぼくはピエロだ 孤高を演じ
それでも恋に憧れる
ぼくはピエロだ 清貧を真似
それでも愛に飢えている
挨拶交わした教室は
どこかそぞろにざわめいて
君は窓際もたれ掛け
どこか遠げに眺めてる
クラスメイトは賑々し
女子も男子もざわめきて
きみはしずかに談笑しつつ
つまらなさげに瞳を伏せる
「今日は特別」僕は言う
けれど君には特別が
いつも通りに過ぎ去る日
いつも通りに過ぎていく
ぼくはピエロだ 孤高を演じ
それでも恋に憧れる
ぼくはピエロだ 清貧を真似
それでも愛に飢えている
「今日は特別」君は言う
「今日は特別」僕も言う
もしも特別なのならば
僕が動けばいいのだろう
ぼくはピエロだ 孤高を演じ
それでも恋に憧れた
きみはピエロだ 清貧を真似
それでも愛を求めてた
空から舞い落つ粉雪は
しずかに二人を近づける
二人で見上げた冬の夜空は
まごう事なく特別だった
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