328089 / 清流さん
旅過ぎ去る電車を眺める
駅のホームには沢山の人達
行く当てなんて無いのに
旅と理由を付けて電車を待つ
忙しそうな会社員に気怠そうな学生
仲睦まじそうな家族連れに老人夫婦
そのどれかと言う訳でも無く
寂しさを感じつつ電車に揺れる
流れて行く車窓、轟くモーターの音
橋を渡り次の駅へ次の駅へ
止まったり通過したりして
電車は終点へと向かう
電車の行き先は決められているのに
私の行き先は見つからず
行けるところまでと言いながら
降りることを忘れ乗り続ける
人が降りては乗り
車内で見かける顔も違ってくる
過ぎ去る景色もまた
違う空の下変わっていく
自分探しの旅だと言っても
私には探せれる自分がいない
もしそこに「自分」とやらがいるのなら
それは偽物の私だろう
孤独を埋めることも出来ず
外へ出て遠くに行く事で
自分を誤魔化す私に
見つけれる「自分」はあるんですか
見知らぬ土地にいけば
何かが見つかるのか
それで自分を見付けた気になって
この旅を終わらせるのですか
電車の終点手前で降りて
駅を出た先の光景を
私が求めた終着点と
思えるようになるだろうか
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