国木田独歩 春の鳥
あき
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落葉を踏んで
頂に達し、
例の天主台の
下までゆくと、
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せきせきとして
満山声なきうちに、
何者か優しい声で
歌うのが聞こえます
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あーあー
あーあー
あーあー
あーあー
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見ると天主台の
石垣の角に、
六蔵が馬乗りに
またがって、
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両足をふらふら
動かしながら、
目を遠く放って
俗歌を歌っているのでした。
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空の色、日の光、
古い城あと、
そして少年、
まるで絵です。
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少年は天使です。
この時私の目には、
六蔵が白痴とはどうしても見えませんでした。
白痴と天使、なんという哀れな対照でしょう。
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しかし私はこの時、
白痴ながらも少年はやはり自然の子であるかと、
つくづく感じました。
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しかし私はこの時、
白痴ながらも少年はやはり自然の子であるかと、
つくづく感じました。
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